ヴィタリエ が埼玉に住みはじめたころ目にした、たくさんのチューリップ。深谷市はチューリップを全国に送り出す大きな花屋がたくさんあった。
大胆に、かつ可愛らしく咲くチューリップは彼を魅了した。今から20年ほど前のスケッチブックは、彼の心に咲くチューリップで溢れている。
中国での留学を終え、日本に来たばかり。深谷に広がる広大な畑作地帯を自転車で走り抜け、通ったのは花屋。バイトをしながら絵の題材を集める。
言葉も分からず、文化も分からず、手探り状態だった中、心を明るく照らしてくれ、優しく語りかけてくるチューリップ。
冬の寒さを乗り越えて春に向かって力強く伸ばす葉。
そんなチューリップたちは、「ヴィタリのチューリップ」と呼ばれ、紙やキャンバスの中で、今も優しく、時には力強く咲いている。
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